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片渕須直監督特集上映|「つるばみ色のなぎ子たちのつづく道」企画(全3弾)

August 12, 2024

 

 
片渕須直監督のパラレルワールド
「つるばみ色のなぎ子たち」のつづく道!


現在制作中の片渕須直監督の『つるばみ色のなぎ子たち』は、『枕草子』が書かれた平安時代の京都を舞台にする映画。構想 6 年、監督の5作目の長編映画として、本作は清少納言が生きた時代を描く。片渕監督の過去の各作と同様に、徹底的な研究と膨大な調査内容によって制作され、各作とも繋がっているようだ。
 
長編デビュー作の『アリーテ姫』(2001)はおとぎ話を映画化した物語。おとぎ話の枠にとらわれることがない本作は、主人公のプリンセスの自意識の目覚めの描写を通し、物語はジレンマや抑圧から解放し、フェミニズム的に展開された。本作は第1回の新世紀東京国際アニメフェア21「劇場映画部門優秀作品賞」を受賞。なお、こうした枷を打ち破る若い姫の冒険にさらに壮大な物語性を加えたのは、千住明氏の音楽。22年ぶり、片渕監督新作の『つるばみ色のなぎ子たち』の音楽を彼は再び手掛ける。
 
2009年、「なぎ子ちゃん」という女の子が映画『マイマイ新子と千年の魔法』の中に初めて登場した。父親が周防国へ赴任したため、彼女はそこで少女時代を過ごしていた。あれは8歳の清少納言だ。「その子が大人になった時、世の中ってどうなっていたのだろうと考えたのが、この映画を作るに至った最初のきっかけです。」
『つるばみ色のなぎ子たち』が生まれた原点は、2009年に公開されたこの作品に既に見られる。
 
国内外で70以上の賞を受賞した映画『この世界の片隅に』、そして、主人公すずさんの別の側面を描き込むことで、異なる主題に到達した「もう一本の映画」と言われる『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』には、「異常」である戦時中に、「日常性」が最大限で描かれた。新作『つるばみ色のなぎ子たち』が描写していくのは、疫病の蔓延で暗闇に覆われた千年前の京都。悲劇の世界において、清少納言による日常への賛美や記録は、新作がまた再びマクロの視点以外にある「片隅」に焦点を当てることを暗示しているようにも思える。

 
各作の一週間限定上映、出町座にて連続開催!

この度、制作中の新作『つるばみ色のなぎ子たち』と片渕須直監督の『アリーテ姫』、『マイマイ新子と千年の魔法』、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の三作が再公開。創作の原点、「異常」での「日常」。新作の全貌ができ上げる前、片渕須直監督の三作のそれぞれの生々しい時代を振り返りながら、『つるばみ色のなぎ子たち』のつづく道を辿り着きましょう。

 
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上映作品:『アリーテ姫』(2001)
上映日程:2023.12.15(木)~12.21(木)
【片渕須直監督特集上映 つるばみ色のなぎ子たちへつづく道 vol.1】


 
 

『アリーテ姫』上映後トークイベント(2023年12月17日)
登壇者:片渕須直監督、千住明氏(作曲家)

    📚公式レポート



 
 
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【片渕須直監督特集上映 つるばみ色のなぎ子たちへつづく道 vol.2】
上映作品:『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)
上映日程:2024.4.26(金)~5.2(木)


 
『マイマイ新子と千年の魔法』上映後トークイベント(2024年4月27日)
登壇者:片渕須直監督、コトリンゴ氏(音楽家)

    📚公式レポート



 
 
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【片渕須直監督特集上映 つるばみ色のなぎ子たちへつづく道 vol.3】
上映作品:『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(2019)
上映日程:2024.8.9(金)~8.15(木)


 
上映後トークイベント(2024年8月10日)
登壇者:片渕須直監督、細馬宏通氏(行動学者/早稲田大学文学学術院教授)